訪問看護ステーションを開設して早14年。50歳で開業し、振り返ると自分も高齢者と呼ばれる年齢に近づいていることに、今更ながら気づきます。
ここ14年間でご利用者様の背景も変わりました。開設当初のご利用者様の利用年齢から、5年は伸びた印象です。90歳? まだまだ……優に100歳を迎える方も多くなってきました。
その反面、末期癌や難病と向き合う50歳代、60歳代、70歳代と、私の年齢に近い方がとても多くなってきている印象です。どうしても自分の年と重ね合わせてしまいます。訪問看護をしていく上で、常に自分の生き様や死について向き合うことが重要だと考えてきました。私に残された時間はもう予測がつく年齢なのだとつくづく思います。
今、私に死や難病の宣告があった場合、この事務所はどうなるのだろうかと、ふと考えることがあります。訪問看護を頼りにしてくださっているご利用者様や、私と共に働いている仲間達のことを思います。生きている限り、何があってもおかしくない。自分に予期せぬことが起こったら──と漫然と考えあぐねるこの頃です。
いつでも立ち向かえる様、心の準備はしてはいるつもりですが、反面、準備や予想して迎え撃てるものではないこと、自然の掟を受け入れることの大切さも、たくさんのご利用者様から学ばせていただきました。
訪問看護の役割はまだまだ確立されたものではなく、今後2025年を見据えた地域包括ケアシステムの導入にあたり、看護師の役割はますます期待されていくだろうと実感しております。地域のニーズに答えていくには、発想の転換も必要で、創造する力が必要であることをつくづく感じます。
高齢化社会の到来を疎ましく感じさせてしまう昨今、高齢化社会が日本の未来を明るくするのかそうでないのか、今問われている気がします。
この様な時代であるからこそ、若い方達がみずみずしい感性を持ち、高齢者をはじめ、末期癌や難病、そのほか訪問看護を必要としている方々に、一人でも多くの看護師が手を差し伸べてほしいと思うのです。そして、訪問看護ステーションのありようを模索してほしいのです。訪問看護が30年後、40年後、50年後と地域の中に存在し続け、生きようとする人々の手助けとなる存在であり続けることを望んでやみません。
私の出来ることはここまでとして、今後の訪問看護ステーションの運営を時代の変化に合わせ、人々の役に立てるプロ集団であるように、受け継ぎ発展させてほしいと思うのです。
訪問看護ステーションさくらんぼ 所長
三村悦子